20190825 フェスの楽屋話

さてさて、夏も終わりですか。早いような長かったような...いわゆる"夏らしい"ことなどはないままに、月日は去っていくようです。

 

などと、秋の始まりにありがちな心寂しさは傍らにして、フェスでございました。「アートタウンつくば」です。
今回は写真など、何ひとつ、ない!文字情報のみでお伝えしていきます。お伝えするといっても、どちらかというと楽屋話で、特にお見せするようなものもないのです。お見せするようなものはないというか、お見せできないというか。

 

いや、いくら夏とはいえね、何人裸でウロウロしてるんだと。ショーのために脱ぐ人、わけもなく脱いでいる人、趣味のボディビルのコンディションを確認してる人(なにかと脱ぎたがるので、脱ぐために服を着てるのかと思うほど)、と様々な理由はあるが、とにかく裸のおじさんたちが仕事前に酒を飲んでいたり、さすがの話芸で冗談をとばしていたり、ああ、ここはまともな社会じゃないんだなと再確認...
酒といえば、スタッフさんの用意してくれたドリンクを冷やす氷水の中に、どんどん私物らしいビールの缶が増えていき、2日目に至っては酒とその他の飲み物の割合が6:4で上回ってきた瞬間もあり。コーラかと思って引き抜いたら赤ワインのボトルだったのには笑ってしまった。

 

フェスはたいてい終わればスタッフさんを交えての打ち上げとなり、そこここで(また)アルコール片手に他愛ない冗談やらマジメな話やらが飛び交う気軽な、特に際立って芸人らしいそれのない(さすがに誰も、出しゃばって芸を見せたりはしないですよ)、まあごく普通の交流会です。これも「フェス」のリズムのひとつで、ここに参加していると、快く、あー、なんだか仕事をしたなと思ったりするのですけれど、それはいいとして。

 

今回は、たまにフェスでご一緒するフラメンコチームの「Los Ojillos Negros(ロス・オヒージョス・ネグロス)」の皆さんとお話するタイミングがあり。で、昨年埼玉へ観に行ったイスラエル・ガルバンの話を振ったらば、さすが皆さんも観に行かれていたようで、ここでひと盛り上がり。情報としては知っていた非古典派としてのガルバンについての評価などを伺えました。

ガルバンは、フラメンコ界におけるニジンスキーと評される、いわゆる天才ダンサーで、古典的なフォームから逸脱し、多様なアイディアを用いた舞台が国際的な評価につながっているようです。素人には、その古典からの距離が掴めないのですが、ただただ格好いい踊り手ということはわかります。私が見た『黄金時代』も、ギタリストとカンテと三人だけの編成で、かつキャリア初期の作品のようで、かなりレアな上演だったことが会話の中でわかりました。パンフレット読んだ気もするんだけどな...

面白かったのは、ロス・オヒージョスのギタリストさんが、ガルバンとご家族ぐるみで交流があり、スペイン留学時はガルバンと同じアパートに住んでいたとか...すごいなあ。
しかもそのガルバン、また来日するらしく、新宿は「ガルロチ」というショースペースで9月上旬にパフォーマンスするとか。調べたらなかなかいいお値段ですが、キャパは200席で、かなり間近であの踊りが見られるのは、得難い経験ではないでしょうか。気になる方はサクッと検索してみてはどうか。

 

そんな交流もさすがに日付が変われば翌日に備えてお開きに...なるはずもなく、多くのスタッフさんは朝が早いので帰られるものの、芸人はダラダラと長話に耽る人も少なくないもの。

私は、そとでタバコを吸っている加納真実さんを見つけて、だらだらと夜風のもとで、今は何を話したんだか思い出せないほど多岐に無為に話し込んだ。その横をスタッフさんが車も通らないような暗い道を、自分が泊まるという宿まで歩いて帰っていった。
だらだら話は止まらず、飲み物でも買いに近所のコンビニまで歩いていった。そのままコンビニの外で、たまたま買い物に来た某氏と、「好きなタイミングで死ねるスイッチがあったら押すか、また、押すとしたらいつか?」とかいうそれ自体が死ぬほどどうでもいい話題でコーヒーを啜った。横を見るとコンビニの窓には光に誘われたらしいセミがビビッビビッと音を立てて何度も体当りしていて、車の一台も止まっていない駐車場にはネパール人と日本人のおじさんが車座になって卑猥な冗談をさかなに酒を囲んでいた。

 

それでも朝になればもちろん皆時間通り起きて宿の朝食につく。隣の席になった、楽屋で一番裸になっていた山本さんが、常に変わらないテンションの高さでスマホの画面を見せてくる。そこには、午前4時に目が覚めたら過去最高のコンディションに思わず興奮してセルフタイマーで自撮りしたという筋肉、もとい40のおじさんのムキムキの全裸画像が写っていたのでした。ボディビルコンテスト、がんばってほしい。