ストリップの文集『ab-(あぶ)』発刊

人生を即興にするな、とジャズミュージシャンのロバート・グラスパーは言った。しかし思いつきで行動することの快適さはどうしたってあり、そういう快適さに乗っかってこれまでも色々やってきた。

即興だけに、もはや思いついた文脈すら忘れてしまったが、先月の頭、舞踊研究者の武藤さんにメッセンジャーで「今年のまとめ」を作らないか打診した。我々にとって「まとめ」たいものはストリップをおいて他にないのだが、とにかく、なんか喋って文章にまとめようという企画を私から誘いかけたわけである。

そしてそれから2週間ほど後、都内の会議室を借りて2時間ほどあれこれ話した。そのあと、なぜか気が大きくなって風呂敷を広げたくなったのか、またそこからさらに3日後の文学フリマ東京で『イルミナ』編集のうさぎいぬさんにインタビューの話を持ちかけた。1週間ほど経って都内のカフェで話を伺った。
これに前後して、まだ気が大きくなり続けているのか、今年自分の誘いではじめてストリップを見た友人たちへ文章を書いてくれるか連絡しはじめた。まあこれは別に自分の作業負担はほぼないので、実質何もせず原稿の厚みが増していったわけだ。都合3名の友人がエッセイを寄せてくれた。

そんなこんなで、再び武藤さんと対談の続きを収録したりして、なんやかんやと文字を起こしたり編集したりしたところ、40,000字前後の文字が並んだ「今年のまとめ」が生まれたのである。発案から1ヶ月半。コロナ禍のスケジュールが手伝って、どうにかなるもんである。

唯一、自分が書いた論考めいた文章だけはどうにかなったのか頼りないが、「今年のまとめ」をするからにはひとつのけじめとして書いておかねばいけない気になったので、なんとか書き終えた。いちばん堅い文章だが、別にこんな事ばかり考えて見ているわけもなく、しかし見ているうちに残った質感をひとつずつ手繰りよせて書いたものである。

で、どうにかなった結果をpdf/epubでリリースしました。
年末年始の読み物にいい塩梅......とは言いがたい量かもしれませんが、ストリップって本当に面白いな、という気持ちで作られたものなのは間違いないので、ノリと熱を感じて楽しんでいただければ幸いです。

 

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